特定技能で外国人を雇用する方法|受入れ要件・手続きを完全解説

特定技能で外国人を雇用したいが、「何から始めればいいのか分からない」と悩んでいませんか?

人手不足が深刻化する日本において、即戦力となる外国人材を確保するための「特定技能」制度は、多くの企業にとって欠かせない選択肢となっています。しかし、特定技能制度は他の在留資格と比べて受入れ企業(特定技能所属機関)に求められる要件が厳しく、遵守すべきルールや支援義務が多岐にわたります。


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本記事では、これから特定技能外国人を雇用しようと検討している、または既に雇用している企業の担当者様に向けて、制度の基礎知識から、受入れ要件、登録支援機関の活用方法、そして転職や退職といった実務対応までを徹底的に解説します。

1. 特定技能制度の基礎知識と最新動向

特定技能制度を正しく活用するためには、まず制度の目的や対象範囲を正確に理解することが重要です。

技能実習制度との違い

実務において「特定技能」と「技能実習」は混同されがちですが、制度の根本的な目的が異なります。 技能実習制度は、日本の技能を開発途上国へ移転する「国際協力・人材育成」を目的としています。一方、特定技能は、国内の深刻な人手不足を補うために「即戦力としての労働力確保」を目的として創設されました。この違いにより、特定技能は同一業種内であれば転職が可能であるなど、運用上の柔軟性が高くなっています。

対象となる業種(分野)と最新の拡大動向

特定技能で外国人を雇用できる業種は、法令で明確に限定されています。対象外の職種で申請しても在留資格は認められません。 これまで16分野が対象とされてきましたが、2026年1月23日の閣議決定により、新たに「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環(廃棄物の中間処理業など)」の3分野が追加され、計19分野へと拡大されました。また、向こう5年間での受け入れ上限数も大幅に引き上げられており、制度の拡充が進んでいます。

特定技能1号と2号の違い、家族帯同について

特定技能には「1号」と「2号」の区分があります。

  • 特定技能1号:通算で最大5年間の在留が可能ですが、原則として家族の帯同は認められていません。
  • 特定技能2号:より高度な熟練技能を要し、更新を繰り返すことで長期在留が可能です。また、要件を満たせば配偶者や子どもを「家族滞在」として呼び寄せることができます。

雇用形態の原則と例外(派遣の可否)

特定技能制度では、原則として受入れ企業と外国人本人が「直接雇用契約」を結ぶ必要があります。これは企業が責任を持って支援を行うためです。 ただし例外として、季節的な労働需要の変動が大きい「農業」および「漁業」分野に限り、派遣形態での就労が認められる運用があります。それ以外の分野での派遣就労は認められていないため、実態が派遣とならないよう注意が必要です。

送出国との二国間協定(MOC)

特定技能外国人を海外から受け入れる際には、日本政府と送出国政府の間で結ばれた「二国間協定(協力覚書:MOC)」に基づく手続きが不可欠です。この協定は、悪質な仲介業者の排除や保証金の徴収禁止など、外国人労働者を保護する目的があります。送出国によっては自国の国内法令に基づく「固有の手続き」を経なければ日本側の在留資格が認められない場合があるため、国ごとのルール確認が必須です。

2. 受入れ企業に求められる要件と待遇

特定技能外国人を受け入れるためには、企業側が厳格な基準を満たしている必要があります。これを怠ると、採用決定後に申請が不許可となるリスクがあります。

同等以上の待遇と雇用契約

締結する雇用契約は、労働条件や報酬が日本人と同等以上であることが絶対条件です。これを証明するために、同等の業務に従事する日本人従業員との賃金比較表などを提出し、合理的に説明する責任があります。また、外国人が希望した場合の一時帰国休暇の付与なども契約に盛り込む必要があります。

法令遵守と欠格事由の確認

受入れ企業は、労働保険・社会保険・租税の未納がないこと、および過去5年以内に労働関係・入管関係の法令違反がないことが求められます。 実務上で特に見落としがちなのが「非自発的離職者の発生」です。特定技能外国人と同種の業務を行う労働者(日本人含む)を、受入れ前1年以内に「事業主都合」で離職させていた場合、欠格事由に該当し、特定技能の受入れは認められません。

「運用要領」の確認を怠らない

これらの要件や実務の細かなルールは、出入国在留管理庁が公表する「運用要領」に整理されています。社会情勢や制度変更に応じて頻繁に改訂されるため、過去の知識に頼らず、常に最新版の運用要領を確認する体制が求められます。


※ここまで読んで「自社が要件を満たしているか不安」という場合は、個別に確認が必要です。

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3. 特定技能の申請の流れ

特定技能外国人を雇用し、就労を開始するまでの基本的な流れは以下の通りです。

1 人材確保
まずは、自社が属する特定産業分野で求められる基準を満たす外国人材を探します。対象となるのは、各分野の「技能評価試験」および「日本語能力試験」等に合格した外国人、または、関連する職種・作業の「技能実習2号」等を良好に修了して試験免除となる外国人です。

2 雇用契約
採用する人材が決まったら、受入れ機関(特定技能所属機関)と外国人本人との間で「特定技能雇用契約」を締結します。この際、報酬額が同等の業務に従事する日本人と同等以上であることなど、関係法令を遵守した適切な労働条件とすることが求められます。

3 支援計画
「特定技能1号」の外国人を受け入れる場合、日本での職業・日常生活をサポートするための「1号特定技能外国人支援計画」を作成します。受入れ機関自ら支援を実施することが困難な場合は、国の登録を受けた「登録支援機関」に支援の全部を委託することも可能です。

4 申請
事前ガイダンス等の準備が整ったら、地方出入国在留管理局へ申請を行います。海外にいる外国人を新たに呼び寄せる場合は「在留資格認定証明書交付申請」、既に日本に在留している技能実習生などを採用する場合は「在留資格変更許可申請」を行います。

5 入国・就労
海外からの場合は、交付された認定証明書を用いて現地の日本大使館等で査証(ビザ)の発給を受け、入国後に就労を開始します。国内にいる場合は変更許可後に就労を開始できます。就労開始後も、計画に基づく支援の継続や入管への定期的な届出義務が発生します。

4. 登録支援機関の活用と役割分担

特定技能1号の外国人を受け入れる企業には、「支援計画」を作成し、実施する義務があります。

義務的支援の内容

支援計画には、事前ガイダンス、入国時の送迎、住居確保のサポート、生活オリエンテーション、公的手続の同行、日本語学習機会の提供、相談・苦情対応など、広範な項目が含まれます。これらは外国人が日本で安定して生活し、就労するために不可欠なものです。

登録支援機関への委託と「抱え込みリスク」

これら多岐にわたる支援を自社で全て実施(内製化)するには厳しい要件があるため、法務省の登録を受けた「登録支援機関」に委託することが一般的です。 しかし、支援業務を外部に丸投げすることにはリスクがあります。制度上、最終的な監督・管理責任は受入れ企業にあります。連携が不十分だと、支援の質が低下したり、企業内に外国人雇用のノウハウが蓄積されなかったりするトラブルが生じる可能性があります。

行政書士との適切な役割分担

実務上、登録支援機関に在留資格の「申請書類作成」まで依頼しようとするケースがありますが、注意が必要です。登録支援機関の主業務は「支援計画の実施」であり、官公署へ提出する書類の作成・提出代理は国家資格者である「行政書士」の専門業務です。 支援業務は登録支援機関、法的な手続き(申請代理)は行政書士と、役割を明確に切り分けることで、コンプライアンスを遵守した円滑な業務遂行が可能になります。

5. 移行・転職・退職などの実務対応

雇用開始後にも、様々な状況変化に応じた適切な実務対応が求められます。

技能実習からの移行

特定技能人材を確保する有力なルートが、技能実習生からの移行です。技能実習2号を良好に修了した外国人は、特定技能へ移行する際に求められる技能試験や日本語試験が免除されるという大きなメリットがあります。移行にあたっては、実習で経験した職種と特定技能で従事する業務の関連性が認められる必要があります。

転職の取扱い

特定技能制度では、同一の産業分野など要件を満たせば、外国人本人が別の企業へ転職することが制度上認められています。ただし、転職に際しては「在留資格変更許可申請」が必要となるケースが大半であり、この変更許可が下りるまでの間は、原則として新しい職場で働き始めることはできません。

「技術・人文知識・国際業務」への変更は可能か

特定技能で働く外国人が経験を積み、通訳やマネジメント業務などにキャリアアップする場合、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の在留資格へ変更することは制度上可能です。ただし、新たに従事する業務が高度な専門性を有するものであり、本人の学歴や実務経験と密接に関連していることを論理的に立証する必要があります。

定期面談と退職時の届出義務

特定技能制度の支援において重要なのが「定期面談」です。企業(または委託を受けた登録支援機関)は、定期的に本人と面談を行い、労働状況や生活環境に問題がないかを確認し、入管へ定期届出を行う義務があります。 また、万が一外国人従業員から突然「退職したい」と申し出があった場合、感情面と事実を切り分けて対応することが求められます。契約終了から14日以内に入管へ所定の届出を行う義務があるため、速やかに事実確認を行い、適切な手続きを進める必要があります。

まとめ

特定技能制度は、即戦力となる外国人材を採用できる大きなメリットがある反面、企業に課される要件や支援義務は非常に厳格です。 採用前の労働条件の整備から、二国間協定の確認、入社後の定期的な支援と届出まで、一連のプロセスを法令に基づき適正に運用しなければなりません。 制度は頻繁にアップデートされるため、自社だけで抱え込まず、登録支援機関や行政書士といった専門家と適切に連携しながら、持続可能な外国人雇用体制を構築していくことが成功の鍵となります。

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