日本語しか話せない経営者が外国人を採用する際の基本的な考え方

日本語しか話せない経営者が外国人を採用する際の基本的な考え方

2025年12月22日

はじめに

少子高齢化に伴う労働力不足を背景に、中小企業でも外国人労働者の採用を検討するケースが増えています。特に経営者が日本語のみを話す場合、採用手続きや職場運営で言語面の不安を抱えることがあります。本記事では、法令に基づく制度面と、実務上の注意点(言語対応を含む)を整理します。


1.外国人採用の基本的な考え方

1-1.外国人は「在留資格」によって働けるかが決まる

外国人を雇用する際、まず確認すべきはその外国人が日本で就労可能な在留資格を有しているかどうかです。
出入国管理及び難民認定法に基づき、在留資格の範囲内の就労活動でなければなりません。事業主は採用前に外国人本人の在留カード等で、就労が認められるか確認する必要があります。厚生労働省

1-2.言語能力の法的な位置づけ

日本語能力について、法令上は採用・就労の要件として定められた規定は原則ありません。ただし、在留資格の種類によっては、業務に必要な専門性やスキルが問われるケースがあり、日本語能力が審査の影響要素になることもあります。
実務上は、職務内容の理解や安全確保、労働条件の説明のために、日本語以外の言語対応が重要になります。


2.適用される法令・制度の骨格

2-1.外国人の雇用に関する法令

外国人を雇用する事業主は、入管法に基づく就労資格確認のほか、日本国内で働く労働者すべてに適用される**労働関係法令(労働基準法、最低賃金法、安全衛生法など)**を遵守する義務があります。国籍に関わらず、同一の労働条件が適用されます。

2-2.採用時の届け出義務

外国人労働者の雇入れ・離職の際には、氏名・在留資格等をハローワークに届け出ることが義務です。これは、外国人雇用状況届出制度によって義務付けられており、怠ると罰則の対象になる可能性があります。厚生労働省


3.日本語しか話せない経営者が注意すべき実務上のポイント

ここでは、制度面ではなく実際の採用・職場運営で注意すべき点を具体的に整理します。


3-1.雇用契約・就業条件の説明

■労働条件の明示は必須

労働基準法などにより、労働契約を交わす際に主要な労働条件を明示した書面の交付が義務付けられています。これは国籍を問わず適用されます。厚生労働省

■理解を確保する説明と書面

法令上は日本語の書面で明示すれば義務は果たせますが、外国人労働者が内容を正確に理解できるようにする配慮が実務上重要です。実務指針でも、外国人が職場に適応できるよう、人事管理や教育訓練の実施などの措置を講ずることが求められています厚生労働省

したがって、次のような対応が考えられます。

  • 翻訳文の用意や通訳の活用
  • 重要事項について図や見出しを用いた説明
  • 労働条件について双方が理解した記録の保持

これらは制度上の義務ではありませんが、誤解やトラブルを避けるために実務上推奨されます。


3-2.業務指示・安全配慮

■安全・業務指示の明瞭化

労働安全衛生上、外国人が業務上の危険や手順を正確に理解することは重要です。特に専門用語や危険箇所については簡潔な日本語や絵表示、通訳支援などの工夫が役立ちます。
これは法令上の明示的な義務とは異なりますが、安全配慮義務の観点で実務上求められる配慮です。

■日常コミュニケーションの工夫

  • 翻訳アプリ・通訳機能の活用(誤訳確認が必要)
  • 単純で明確な指示文の採用
  • 定期的なフォローアップ面談

これらにより、誤解や不安を減らし、業務効率を高めることが期待されます。※


3-3.社内コミュニケーションの現実的対応

■日本語環境でもできる配慮

日本語のみの職場で外国人を雇う場合、採用後の定着や職場環境整備が重要です。
実務としては次のような点を検討すると効果的です。

  • 日本語表記のみではなく、視覚的にわかりやすい掲示・説明書の整備
  • 簡単な日本語表現の徹底
  • 相互理解の場の設置や学習支援(必要に応じて)

厚生労働省の指針では、職場での円滑なコミュニケーションの前提となる条件整備や教育訓練等を講じるよう努めることが求められており、これらの取り組みが評価されます。厚生労働省


4.まとめ

外国人を採用する際は、在留資格・法令に基づく手続きの遵守が前提です。同時に、雇用契約・業務指示・安全配慮などで、労働者が内容を正確に理解できる環境を整えることが重要です。

日本語のみしか話せない経営者であっても、雇用条件の明示や説明内容の工夫、外部支援の活用などにより、適正な雇用管理を目指すことができます。

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