外国人雇用におけるコンプライアンスと日本人採用の選択 ― 企業の持続可能性を考慮した検討

1. はじめに

少子高齢化に伴う労働力不足を背景に、多くの企業で人材確保が喫緊の課題となっています。その中で「外国人雇用」は有力な選択肢の一つですが、日本人雇用とは異なる法規制や手続的負荷が存在します。企業の持続可能性を確保するためには、制度上の違いを正しく理解し、自社の状況に即して日本人採用と外国人雇用のいずれが適しているかを冷静に判断することが求められます。

2. 外国人雇用に特有の法的義務と手続

外国人(「外交」「公用」「特別永住者」を除く)を雇用する場合、事業主には日本人雇用時には発生しない特有の法的義務が課せられます。

  • 在留資格の確認義務 不法就労助長(入管法)に問われるリスクを避けるため、雇用前に在留カード等で就労可否を確認することが重要です。知らなかったとしても、在留カード未確認など過失がある場合は処罰対象となり得ます。
  • 外国人雇用状況の届出 労働施策総合推進法に基づき、外国人の雇入れおよび離職の際には、ハローワークを通じて厚生労働大臣へ届け出ることが義務付けられています。
    届出を怠ったり虚偽の届出をした場合、30万円以下の罰金の対象となります。
  • 在留期間の管理 雇用中も、在留期間・就労可否の確認を継続し、在留期限が切れた状態で就労させない運用が必要です(期限管理が不十分だと、不法就労に関与したと評価されるリスクがあります)。

3. 日本人雇用と比較した場合の主な考慮事項

日本人を雇用する場合と比較し、外国人雇用においては以下の点が検討要素となります。

  • 手続的・時間的コスト 新たに海外から呼び寄せる場合、出入国在留管理庁へ「在留資格認定証明書(COE)」の交付を申請する必要があります。標準処理期間は1カ月から3カ月程度とされていますが、個別の事情や混雑状況により、それ以上の時間を要する場合もあります。
  • 業務範囲の制限 就労資格(例:「技術・人文知識・国際業務」)は、従事できる活動が在留資格ごとに定められており、範囲外の就労をさせた場合は不法就労(企業側は不法就労助長)に該当するリスクがあります。

4. 日本人採用を選択することが合理的とされるケース

以下の状況においては、コンプライアンス維持や事業効率の観点から、日本人採用を優先的に検討することが合理的といえます。

  • 業務内容が在留資格の要件に合致しない場合 行わせたい業務が、入管法で定められた高度な専門知識を要しない内容である場合、就労資格の許可が下りない可能性が高いです。無理に申請を行うのではなく、日本人採用による対応が適切です。
  • 急を要する人員確保が必要な場合 在留資格の審査期間は行政側の判断に委ねられており、確定的な入社時期の予測が困難です。不確定要素を排除し、即時の戦力補給を優先する場合は日本人雇用が有利となります。
  • 社内の受入・支援体制が未整備な場合 例えば「特定技能1号」では、受入れ機関は支援計画を作成し、計画に基づく支援を実施する必要があります(委託も可能)。これらのリソースを社内で確保できない場合、管理体制が整うまでは日本人採用を継続する判断も必要です。

5. 実務上の注意点:専門家への相談の重要性

外国人雇用の検討において、自社の業務内容が法的な要件を満たしているか、また適正な雇用管理が可能かどうかの判断は非常に複雑です。

判断を誤ると、意図せず不法就労助長罪などの法令違反を招き、企業の社会的信用を大きく損なうリスクがあります。そのため、少しでも判断に迷う場合や、適正な手続に不安がある場合は、行政書士などの専門家によるサポートを受けることが推奨されます。専門家は最新の法改正や審査傾向を把握しており、実務上のリスクを最小限に抑えるための適切な助言が可能です。

6. おわりに

人材採用の選択は、企業の成長だけでなく、法的コンプライアンスの遵守が前提となります。外国人雇用特有の制約や義務を正確に把握し、自社の体制と照らし合わせた上で、日本人雇用を選択することも有力な経営判断の一つです。状況に応じ、専門的な知見を活用しながら、最適な人材採用戦略を構築することが重要です。


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