「採用は決まったがビザが取れない」事例にみる典型的な注意点

Ⅰ.概要

企業が外国人の採用を決定したにもかかわらず、在留資格(いわゆるビザ)が取得できないケースは、実務において比較的多く見られます。外国人雇用においては、採用の意思決定と在留資格の取得は 別の審査基準 によって判断されるため、採用が決まった段階であっても在留資格が認められない可能性があります。
本稿では、在留資格審査の観点から典型的な注意点について整理します。


Ⅱ.在留資格審査の基本的な考え方

まず整理すべき基本は、在留資格は 「採用されたかどうか」ではなく、外国人の予定する活動内容と在留資格の要件が一致しているか によって判断される点です。例えば多くの企業が採用時に想定する「就労ビザ」の代表例である 技術・人文知識・国際業務 の在留資格では、業務内容が専門性の高い業務であることが要求されます。具体的には、理学・工学等の自然科学分野や人文科学分野の専門的知識を要する業務、または外国文化に基盤を有する活動が該当しますが、そのような業務であると認められない場合は許可が出ない可能性があります。

また、在留資格申請は出入国在留管理庁による個別審査です。審査機関は一般に具体的な不許可理由を詳細に公表しませんが、基準に合致していないと判断された場合には申請が認められないことがあります。


Ⅲ.典型的な「ビザが取れない」パターン

1.職務内容と在留資格が一致していないケース

外国人が従事する予定の職務内容が、予定する在留資格の活動内容の要件を満たしていない場合、在留資格の認定がされないケースがあります。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」においては単純な労働や訓練で習得可能な作業は該当しません。専門知識・技術・言語等が直結する職務であることが求められ、業務内容がこれに当てはまらない場合は審査で問題となる可能性があります。


2.学歴・職歴要件を満たしていないケース

在留資格によっては、外国人本人の 学歴・職歴と業務内容の関連性 が要件になります。たとえば「技術・人文知識・国際業務」では関連する学部・専攻の学歴や相当する実務経験などが求められる場合があります。これら要件が満たされないと審査上問題となることがあります。


3.雇用条件が審査基準に適合していないケース

在留資格取得の審査では、賃金や勤務条件等が 日本人と同等程度であることや、安定した雇用であること が求められる場合があります。報酬額や労働条件が適切でないと判断されると、在留資格として認められない可能性があります。


4.企業側の体制・説明資料が不十分なケース

審査資料において事業内容や採用の理由、業務内容の詳細が不十分な場合、審査官が実態を十分に把握できずに認定しないケースがあります。提出する文書によっては、業務の必要性や外国人の役割が明確に説明されないと評価が低くなることがあります。


Ⅳ.実務上の注意点

  1. 採用決定前の事前確認
     採用前に在留資格の要件と予定している職務内容・必要スキル・報酬水準等が整合しているか確認しておくことが重要です。
  2. 業務設計の整合性
     申請前に業務内容を在留資格の枠組みに合わせて整理し、職務内容が制度上認められ得るものか検討することが必要です。
  3. 専門家・公式情報の活用
     在留資格の制度要件や審査基準は法律・告示等に基づきます。最新の公式説明や出入国在留管理庁の資料を確認し、必要であれば専門家に相談することが推奨されます。

Ⅴ.まとめ

外国人採用において、採用が決定したにもかかわらず在留資格が取得できないケースは、在留資格制度の要件と審査基準が採用判断とは別に存在するため発生し得ます。
多くは職務内容、本人の経歴・要件、雇用条件、提出資料等の適合性が審査上の判断材料となります。したがって、事前に制度要件を的確に理解し、計画的な準備を行うことが重要です。
なお、最終的な許否判断は出入国在留管理庁の個別審査によるものであり、必ずしも申請段階における想定どおりの結果になるとは限りません。


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