外国人材の雇用を検討、あるいは既に進めている事業者にとって、環境整備に伴うコストの負担は重要な課題です。外国人雇用の安定を図るための公的支援には、大きく分けて厚生労働省が所管する「助成金」と、経済産業省や地方自治体が所管する「補助金」があります。
本記事では、外国人雇用に関連する最新の公的支援制度について、官公庁の一次情報に基づき解説します。
外国人労働者の雇用管理と公的支援の意義
事業主には、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針(外国人雇用管理指針)」に基づき、適切な就労環境を整備する努力義務があります。これには、不法就労の防止だけでなく、労働条件の明示や安全衛生教育、職場定着の支援が含まれます。
これらの環境整備を推進する際、一定の要件を満たすことで公的支援(補助金・助成金)の活用が可能となる場合があります。
外国人雇用に関連する助成金制度の概要
労働者の待遇改善や職場定着を目的とした支援として、厚生労働省が提供する助成金制度があります。
- 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース) 外国人労働者の離職率低下を目的とした制度です。就業規則の多言語化、苦情相談窓口の設置、一時帰国休暇制度の導入といった「環境整備」にかかる経費の一部が助成対象となります。
- 人材開発支援助成金 外国人労働者に対して職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための訓練(研修)を実施した場合に、その経費や賃金の一部が助成されるものです。
※これらの助成金は雇用保険料を財源としており、申請書類の提出代行・事務代理を報酬を得て行う場合、社会保険労務士等に限られる点に注意が必要です。なお、企業が自社で申請すること自体は可能です。
行政書士業務に関連する「補助金」の活用
事業拡大や生産性向上を目的とした「補助金」において、外国人材の活用や多言語対応が評価項目となったり、対象経費に含まれたりするケースがあります。これらは行政書士が申請書類の作成支援を行うことができる分野です。
なお、補助金の公募要領については最新の情報を確認するようにしてください。
1. IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)
バックオフィス業務の効率化を目的としたITツールの導入を支援する制度です。
対象となるITツールや補助対象経費は、公募要領・交付規程および登録ITツール要件により異なるため、申請時点の公式資料を確認してください。
- 多言語対応ソフトの導入: 勤怠管理や給与計算システムにおいて、外国人従業員に対応した多言語UIを備えたソフトを導入する場合、その導入費用が補助対象となる場合があります。
- コミュニケーションツールの活用: 業務指示の翻訳機能などを備えたツールの導入により、職場定着を図る取り組みが該当します。
2. ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
革新的なサービスの開発や試作品開発、生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する制度です。
ものづくり補助金は、公募回ごとに審査項目・加点項目が定められているため、申請する公募回の公募要領で審査観点を必ず確認してください。
- 特定技能外国人等の活用: 事業計画において、高度人材や専門的な技能を有する外国人材を活用し、海外展開や生産性向上を図る取り組みが審査において考慮される場合があります。
3. 自治体独自の外国人材受け入れ支援補助金
各都道府県や市区町村では、地域内の人材不足解消を目的として、独自の補助金制度を設けていることがあります。
自治体独自の支援は、対象経費・上限額・公募期間が自治体ごとに異なります。利用を検討する場合は、所在地自治体の制度要綱(一次情報)を確認してください。
- 住居確保支援: 外国人労働者のための社宅確保や賃貸借契約の初期費用補助。
- 日本語教育支援: 外部の日本語学校への委託費用や、社内講師の招聘費用の補助。
- 在留資格認定申請費用: 行政書士に支払う報酬(取次手数料)の一部を補助対象とする自治体も存在します。
※各補助金は予算上限や公募期間が定められており、最新の公募要領を確認する必要があります。
実務上の注意点と重要事項
補助金・助成金の活用にあたっては、以下の点に留意が必要です。
- 在留資格の適法性: いかなる公的支援においても、対象となる外国人労働者が不法就労状態でないこと(適切な在留資格を有し、活動範囲内であること)が絶対条件となります。
- 公募期間と計画の先行: 多くの補助金は「事前申請・後払い」の形式をとります。事業実施(発注・支払い)の前に申請を行い、採択を受ける必要があります。
- 証憑書類の管理: 領収書、振込証明書、実施報告書などの関係書類を、法令の規定に従って一定期間保存しなければなりません。
まとめ
外国人雇用の環境整備には、ITツールの導入や多言語化といった設備投資を伴う「補助金」と、雇用管理の改善や教育を目的とした「助成金」の二つの側面があります。自社の課題が「生産性の向上」にあるのか「職場定着」にあるのかを整理し、適切な制度を選択することが重要です。
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