外国人従業員の日本語能力を高めるための支援方法について

Ⅰ.外国人従業員の日本語能力向上が求められる背景

日本の職場で外国人従業員がスムーズに業務を行うためには、日本語能力が重要な要素となります。業務指示や安全教育を正確に理解し、同僚や上司と適切な意思疎通を図ることは労働安全や生産性にも関わる課題です。日本語が十分でない場合、コミュニケーションの齟齬が発生しやすく、職場全体の効率や安全にも影響する可能性があります。


Ⅱ.日本語能力に関する公的な位置づけ・参考情報

日本の制度として、在留資格ごとに日本語能力を要件とするものがある場合もありますが、一般的な在留資格では「必ずこのレベルでなければならない」という制度上の義務は明示されていません(勤務の内容や雇用条件によっては必要となることがあります)。
厚生労働省は、企業等で外国人従業員と上司・同僚が円滑にコミュニケーションを図るための指標として、日本語能力を確認・目標設定できるツールを開発しています。企業側が自社のニーズに応じて日本語能力を確認することや、目標設定を行うことができる資料等が公開されています。


Ⅲ.外国人従業員の日本語能力を高めるための主な支援方法

1. 社内での日本語学習機会の提供

企業内で定期的に日本語研修を開催する方法があります。社内の外国人従業員向けに日本語教師を招いて講義を実施したり、社内教育担当者がカリキュラムを企画・運営することが一例です。これにより、業務に関連した表現や場面を学習できるような内容を提供できます。

2. 外部研修・日本語学校・専門サービスの活用

日本語学校や教育機関への通学サポート、あるいは外部講師・専門サービスへの委託を行うことにより、体系的な学習機会を提供できます。近年、多くの企業が外部専門機関や講師への委託を希望しており、日本語教育の実施率が高いとの調査結果もあります。

3. オンライン学習・eラーニングの採用

時間や場所にとらわれないeラーニングやオンライン日本語講座を導入することも可能です。被雇用者のスケジュールに合わせて学習を進められるため、業務との両立を図りやすくなります。学習進捗を企業側で把握する仕組みを設けることも考えられます。

4. 社内コミュニケーションの工夫

日常的なコミュニケーションの中で日本語を使う機会を増やすことも支援の一つです。職場内で簡単な会話や業務指示・報告を日本語で行う機会を意図的に設けたり、コミュニケーション支援ツールを活用したりする取組が考えられます。勤務中だけでなく、職場イベントやミーティングを通じて学習意欲を高める仕掛けも支援として有効です。


Ⅳ.実務上の注意点

1. 雇用条件との区別

日本語能力を向上させる取組は、教育的な支援として位置づけられるべきであり、評価制度や雇用条件として不当に扱わないよう留意が必要です。教育機会を提供する場合、労働時間内と労働時間外の区別や待遇の取り扱いについては就業規則等で明確にする必要があります。

2. 個人差への配慮

日本語能力には個人差があり、学習速度や背景が異なります。強制的な学習や過度な義務付けは、従業員の負担や心理的負担につながる可能性があるため、配慮した支援設計が求められます。

3. 制度上の要件との関係

在留資格や労働条件との関係については、適用される在留資格ごとに要件が異なる場合があります。日本語能力が必要な職種や資格要件がある場合は、個別に確認しながら支援策を検討する必要があります。


まとめ

外国人従業員の日本語能力の向上支援は、業務の円滑化や職場の安全確保に資する重要な取組です。社内研修・外部教育・オンライン学習の組合せにより、従業員の学習機会を多角的に設けることが考えられます。ただし、雇用条件や評価制度との取り扱い、在留資格との関係を整理し、従業員の負担や個人差に配慮した支援設計が必要です。目標設定や進捗管理のツールを活用することも一つの方法です。なお、制度上義務化された要件ではない点についても理解を深めたうえで支援することが望まれます。


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