1.はじめに
北海道では人口減少と人手不足を背景に、外国人従業員を雇用する企業が増加しています。労働局の産業別外国人労働者数を見ると、「製造業」や「農業・林業」など特定の業種に多くの外国人労働者が従事している状況がみられます。自社がどの業種に該当し得るかを把握し、雇用体制を整えることは、適正な雇用管理の面から重要です。
2.外国人雇用の基本的な考え方
企業が外国人を雇用する際には、在留資格(就労可能な資格)や就労条件等の法的要件の確認が不可欠です。加えて、雇用後のフォロー体制や日本語・業務教育の仕組みを整えることが、労使双方にとって安定した雇用関係の構築につながります。
3.北海道で外国人が比較的多く従事する業種と体制づくり
以下では、北海道で外国人従業員が多くみられる代表的な業種を挙げ、それぞれの体制整備のポイントを解説します。厚生労働省北海道労働局
(産業別外国人労働者数の統計を基に、主要業種を選定しています。)
3-1.製造業
特徴と人体制のポイント
製造業は北海道における外国人従業員数が最も多い産業の一つです。工場での生産ラインや加工工程など、技能や安全に関する教育が必要となります。具体的には以下のような体制整備が求められます。
- 安全衛生教育の整備
機械操作や工具の使用方法、安全ルールの周知と教育を実施する体制の確立が必要です。 - 日本語コミュニケーション支援
業務指示・品質管理・安全指示が正確に伝わるように、日本語教育や多言語資料の整備を検討します。 - 在留資格の確認体制
採用前に在留資格と従事予定業務の整合性を確認する仕組みが必要です。
3-2.農業・林業
特徴と体制のポイント
農業・林業分野では、季節的な作業や技能実習制度を通じた受入れが多く、地域によっては外国人作業者が労働力を支えています。農作業の特性に則した教育と安全対策が重要です。農林水産省
- 作業手順・安全教育の体系化
農機具や農薬使用に関する安全教育、作業手順書の整備が求められます。 - 住居・生活支援
農村地域では雇用者側で生活支援の仕組みを整える必要があるケースもあります。 - 技能実習制度の理解と運用
技能実習制度に基づく受入れの場合、制度要件を的確に把握し、監理団体等と連携した体制づくりが必要となります。
3-3.卸売業・小売業
特徴と体制のポイント
卸売業・小売業は道内で比較的外国人労働者の比率が高い業種です。商品の入出庫、接客・販売業務など多岐にわたる業務があり、特に接客・販売の現場では日本語能力が重要視されます。
- 接客・販売教育の整備
日本語での接客対応や商品知識の教育プログラムを整備します。 - 労務管理体制の明確化
シフト管理・休暇管理・給与支払方法について、外国人従業員にも分かりやすい説明を用意します。 - ハラスメント防止・多文化理解研修
多様な背景を持つ従業員が働きやすい職場環境を形成するための研修実施を検討します。
3-4.宿泊・飲食サービス業
特徴と体制のポイント
観光地を抱える北海道では、ホテル・旅館、飲食店分野で外国人従業員を見かける機会が多いです。これらの業種では、接客・サービス活動が業務の中心となるため、顧客対応力を高める体制が重要です。
- 顧客対応教育
基本的な接客マナーや日本語での対応力を高める研修制度を整備します。 - 多言語支援の工夫
多言語メニューや案内書の準備、翻訳支援の活用等により、外国人従業員の負担を軽減します。 - 衛生管理・食品安全の教育
飲食業務に関連する衛生管理や食品安全について体系的な教育を実施します。
3-5.建設業
特徴と体制のポイント
建設業は専門技能と現場での安全対策が特に求められる分野です。道内でも技能実習生や特定技能での受入れが広がっています。
- 現場安全教育の強化
労働災害防止のための安全教育プログラム、保護具の適正使用等を徹底します。 - 技能・資格管理体制
設計図・規格・作業手順の理解を促すため、資格・技能の管理や試験準備の支援体制を整えます。 - 社内コミュニケーション支援
多言語対応の指示伝達や情報共有の仕組みを整え、現場での誤解を防ぎます。
4.業種共通で検討すべき体制整備のポイント
北海道の各業種に共通して求められる体制整備として、以下の項目があります。
- 在留資格の確認と適正な契約管理
採用前に在留カード等で在留資格・就労可能範囲の確認を行う体制を整えます。 - 入社後のフォロー体制
生活支援・相談窓口の設置、日本語学習支援など、従業員が安心して働ける環境づくりを検討します。 - 社内規程の整備
就業規則やハラスメント防止規程、評価制度等を明確にし、多文化共生を意識した運用が重要です。
5.まとめ
北海道で外国人従業員を雇用する際には、業種ごとの特性を踏まえた体制整備が重要です。製造業や農業・林業など、外国人が多く従事している業種では、安全教育や日本語支援、在留資格の確認等を体系的に整えることが求められます。業種ごとの実務ポイントを押さえつつ、雇用管理の基本をおさえる体制整備を進めていきましょう。
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