外国人から寄せられる「対応に判断を要する相談」と行政書士の考え方

はじめに

登録支援機関の職員の方であれば、日々の支援業務の中で
「これはどう答えるべきか」「簡単に“Yes”や“No”と言えない」
と感じる相談に直面することが少なくないのではないでしょうか。

外国人本人にとっては切実な質問であっても、
制度上・実務上、即答できない内容が存在します。
本記事では、登録支援機関の現場で特に共感を得やすい
「対応に判断を要する質問」 を整理し、
行政書士としてどのように考えているかをお伝えします。


外国人相談で「対応に判断を要する質問」とは

判断を要する質問の共通点

登録支援機関の現場で対応に迷いやすい質問には、いくつか共通点があります。

  • 法令を見ても明確な結論が書かれていない
  • 個別事情によって判断が大きく変わる
  • 最終的な判断が行政機関の審査に委ねられている

これらは、支援する側の知識不足ではなく、
制度そのものが即答を想定していない ことが理由です。

よく見られる相談の傾向

実務上、次のような聞き方をされることが多いのではないでしょうか。

  • 「このまま働き続けたら、更新できますか」
  • 「この業務内容は問題ないですよね」
  • 「前は大丈夫と言われましたが、今後も大丈夫ですか」

いずれも、本人にとっては不安を解消したい質問ですが、
現場では非常に答えづらいものです。


「一番対応に困る質問」の具体例

登録支援機関職員が最も対応に困る質問として多いのは、
次のようなものではないでしょうか。

「このまま続けていたら、在留資格は更新できますか?」

この質問が難しい理由は明確です。

  • 更新可否は将来の審査結果であり、現時点で確定できない
  • 勤務内容・勤務状況・本人の生活状況など複数要素が影響する
  • 行政の判断基準が個別事情を前提としている

「今の状況では直ちに問題があるとは言えない」
という説明はできても、
「更新できる」と断定することはできません


なぜ即答できないのか ― 法令・実務上の理由

法令上、明確に線引きされていない部分

在留資格制度では、要件が抽象的に定められている部分が多く、
条文を確認しても白黒がはっきりしないケースがあります。

これは、制度が柔軟な判断を可能にする一方で、
現場の説明を難しくしている要因でもあります。

行政実務は個別判断が前提

更新や変更の審査は、

  • 過去の経緯
  • 現在の活動内容
  • 今後の見込み

などを総合的に見て判断されます。
過去に問題がなかったからといって、
将来も同じ判断になるとは限らない点が、
支援現場での説明を難しくしています。


行政書士としての考え方と対応方針

「分かっていること」と「分からないこと」を分ける

行政書士として意識しているのは、
確認できることと、確認できないことを明確に分ける ことです。

  • 法令や公式資料で確認できる内容
  • 現時点では結論を出せない内容

後者については、
「現時点では公式に確認できません」
「最終判断は審査によります」
と明示することが重要だと考えています。

安易な断定をしない理由

登録支援機関の職員の方であれば、
「大丈夫と言ってあげたい」という気持ちを
一度は感じたことがあるのではないでしょうか。

しかし、安易な断定は、
結果として外国人本人に不利益をもたらす可能性があります。
そのため、慎重な説明こそが支援であると考えています。


相談時に特に注意しているポイント

事実関係の確認を最優先する

判断を要する相談ほど、
前提となる事実関係の確認が欠かせません。

  • 実際の業務内容
  • 契約書と実態の差
  • 過去の在留歴

これらが曖昧なままでは、
正確な整理はできません。

将来の見込みの伝え方

将来に関する質問には、
「可能性」という言葉を使いながらも、
断定を避ける説明が必要になります。

登録支援機関と行政書士が
同じスタンスで説明できることが、
外国人本人の安心にもつながります。


おわりに(まとめ)

外国人からの相談の中には、
制度上、どうしても即答できない質問が存在します。
それは、支援する側の能力不足ではなく、
在留資格制度の特性によるものです。

登録支援機関職員の方が感じている
「答えにくさ」や「判断の難しさ」は、
行政書士の実務感覚とも共通しています。

重要なのは、
分かっていることと分かっていないことを整理し、
確認の重要性を丁寧に伝えることです。


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