不法就労助長罪とは?2027年4月からの厳罰化と企業がすべき対策

外国人を雇用する企業にとって、最も重大なリスクの一つが「不法就労助長罪」です。「知らなかった」では免れない仕組みになっており、さらに2027年4月1日からは罰則が大きく引き上げられます。本記事では、条文に基づいて罪の内容・厳罰化の中身・企業がすべき対策を整理します。

不法就労助長罪とは(入管法第73条の2)

不法就労助長罪は、出入国管理及び難民認定法(入管法)第73条の2に定められた犯罪で、次の3つの行為類型があります。

  1. 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
  2. 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
  3. 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為またはその行為に関しあっせんした者

「不法就労活動」には、在留資格で認められていない収入を伴う活動をさせること(例:技人国の方に資格の範囲外の業務をさせる)、資格外活動許可を受けていない方に報酬を伴う活動をさせること(例:許可のない留学生アルバイト)、不法滞在の方を雇用することなどが含まれます。雇用契約の形式を問わず、事業活動に関して不法就労をさせれば対象になり得る点に注意が必要です。

現行の罰則と2027年4月1日からの引上げ

現行の罰則は、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金(またはその併科)です(入管法第73条の2第1項)。

そして、育成就労制度を創設した改正法(出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律・令和6年法律第60号)により、この罰則は5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金(併科可)に引き上げられます。施行日は、施行期日を定める政令により2027年(令和9年)4月1日とされています。

罰金の上限が200万円、拘禁刑の上限が2年分引き上げられる大幅な厳罰化であり、国として不法就労対策を強化する姿勢の表れといえます。

「知らなかった」では免れない:過失処罰の仕組み

多くの企業担当者が誤解しがちなのがこの点です。入管法第73条の2第2項は、不法就労に当たることを「知らないことを理由として、処罰を免れることができない」と定めています。免れられるのは「過失のないとき」に限られます。

実務上これは、在留カードの確認を怠った場合など、確認義務を尽くしていなければ「過失あり」として処罰の対象になり得ることを意味します。「本人が働けると言ったから」「日本語が上手だったから大丈夫だと思った」という言い分は通用しません。

会社にも罰金:両罰規定

入管法第76条の2により、従業者等が業務に関して不法就労助長罪を犯した場合、行為者本人だけでなく、法人(会社)にも罰金刑が科されます(両罰規定)。担当者個人の問題では済まず、会社としての刑事責任・社会的信用の問題に直結します。

企業がすべき対策

対策の基本は、特別なものではありません。

  1. 採用時の在留カード確認:「就労制限の有無」欄・資格外活動許可欄・在留期間(満了日)を原本で確認する。確認方法は出入国在留管理庁が公表しています
  2. 在留期限の一覧管理:外国人従業員の在留期限を一覧化し、更新時期を把握する。期限切れのまま就労させない体制をつくる
  3. 業務範囲の管理:配置転換や業務変更の際に、新しい業務が在留資格の範囲内かを確認する
  4. アルバイト・パートも同じ扱い:雇用形態にかかわらず、上記の確認は必要です

厳罰化の施行まで1年を切っています。「知らなかった」が通用しない罪だからこそ、確認の仕組みを社内に定着させることが最大の防御になります。

まとめ

不法就労助長罪は、不法就労をさせた企業側を処罰する犯罪で、在留カードの確認を怠るなど過失がある場合は「知らなかった」でも処罰を免れません。2027年4月1日からは罰則が5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金に引き上げられます。採用時の在留カード確認・期限管理・業務範囲の管理という基本の徹底が何よりの対策です。自社の確認体制に不安がある場合は、専門家への相談をおすすめします。