定期面談の位置づけと出入国在留管理庁の考え方
「定期面談」という名称は、在留資格に関する法令に明確な定義として規定されているものではありません。
事業者が外国人雇用に伴って、在留行為や生活支援の実態を把握するための聞き取り・状況確認を自主的に行っているケースもありますが、法令上の義務として定められていない在留資格もあります。
一方で、特定技能制度においては、支援計画に基づいて定期的な面談を実施し、定期届出として報告する体制が設けられています。
したがって、一般的に「定期面談」を実施する目的は次のように整理できます。
- 在留資格の適正な運用と実態把握のために、本人と企業双方の状況を確認する
- 届出・報告義務(ある制度では定期届出など)に備えて、状況整理を行う
- 問題が生じた際に速やかに対応・通報できる体制を整える
実務上の注意点
以下では、実際の運用において注意すべき点を、可能な限り公式根拠に基づき整理します。
① 法令上の位置づけと制度差
確認できる制度と確認できない制度を明確に区別しましょう。
- 特定技能制度
定期的に面談を実施し、所定様式で定期届出・報告を行う義務があります。支援責任者または担当者が実施することが要件です。 - その他の在留資格(例:技術・人文知識・国際業務など)
「定期面談」という法定義務は定められていません。
しかし、雇用管理として定期的な状況確認を行うことは、在留資格の範囲内で活動しているかを把握する実務として重要です。
② 面談内容の記録・保存
面談を実施するだけでなく、何を確認し、どのような対応をしたかを記録することが重要です。
特に、特定技能制度では、面談内容は定期届出書として提出する書類の基礎となります。
報告書には、本人と監督者それぞれと面談した事実、面談の結果(問題の有無)、問題があった場合の対応内容などを記載する必要があります。
記録の注意点
- 面談者の氏名・日付・確認した事項
- 本人の回答内容と確認方法
- 生活・業務上の問題点がある場合の対応履歴
- 届出・通報が必要なケースの有無と対応状況
これらを整理しておくことで、後から入管当局に求められた場合に迅速に提示できます。
③ 面談実施方法とコミュニケーション
定期面談は形式的に行うだけでは不十分で、本人が理解・回答できるコミュニケーションが成立しているかが重要です。
特定技能制度では、原則として対面で行うとされている運用もあります(※制度ごとの公式ルールに従う必要あり)。
注意すべき点
- 使用する言語や通訳の有無
- 面談場所・時間の配慮
- プライバシーを確保し、客観的な状況把握を行う
- 面談が単なる形式にならないよう、聞き取り内容を丁寧に整理する
※ 社内担当者の力量に差がある場合は、記録の質も変わるため注意が必要です。
④ 形式化しない運用と目的の明確化
形式的に「面談を実施した」という事実だけを積み重ねると、実際のリスクや問題を見落とす可能性があります。
面談は、在留資格に関する実態や本人の状況を把握し、必要に応じてルールに従って適切に対応するための作業です。
したがって、次の観点を押さえることが重要です。
- 何のための面談かを明確にする(例:就労状況の確認、生活上の困りごと把握など)
- 面談後の対応フローを整備する
- 問題があった場合の社内手続き
- 入管への届出・報告が必要かの判断
- 労働条件の改善等の対応
⑤ 法令違反・問題発生時の対応
定期面談で法令に抵触しうる事案が発覚した場合の対応についても整理しておきましょう。
例として、次のようなケースが想定されます。
- 勤務実態が在留資格で認められた範囲を逸脱している場合
これは違法な就労と評価される可能性があり、企業側の責任問題にも発展します。 - 就労条件・労働時間等に本人の重大な不満・困難がある場合
労働基準法等の適用範囲と合わせて状況把握し、必要に応じた改善措置や相談支援が必要です。 - 特定技能制度における届出義務に関連する事項
支援計画に基づく定期届出書の虚偽記載や未提出は、制度違反と評価される可能性があります。
実務上のポイント
- 発覚した問題は「社内管理者だけの判断」で放置しない
- 必要に応じて労働・雇用管理の専門家や行政書士に相談する
- 入管当局への届出・通報は、制度ごとのルールに従って的確に行う
まとめ
- 「定期面談」は、在留資格によって法的位置づけや義務範囲が異なるため、制度ごとの公式ルールを確認することが不可欠です。
- 面談は形式化しないよう、実態を把握する目的を明確にして運用することが重要です。
- 面談内容の記録・保存、適切なコミュニケーション、問題発生時の対応フロー整備が、実務上の大きなポイントです。
- 必要に応じて専門家に相談し、公式な基準に基づく対応を進めてください。
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