受入れ企業が押さえるべき基本事項
特定技能制度は、日本における深刻な人手不足に対応するため、一定の技能・日本語運用能力を有する外国人材を受け入れる在留資格制度です。特定技能制度の適正な運用には、法令(出入国管理及び難民認定法・省令・告示)に基づく手続きのほか、「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(以下「運用要領」)が重要な役割を果たします。
運用要領は、制度の運用に関する実務上の取扱いを整理した文書であり、単なる解説ではなく、受入れ機関・登録支援機関等が実務対応の基準として参照すべきものです。ただし、法令そのものではなく、あくまで運用上の指針・手引きである点を留意しなければなりません。
運用要領の基本的な位置づけ
運用要領は出入国在留管理庁が公表しており、制度運用に関する実務ルールや手続きの取扱いがまとめられています。法令が基礎的な要件や手続きの枠組みを定める一方で、運用要領はどのように手続きを進めるか、何を確認すべきかといった実務上の留意点を整理した資料です。
例えば、申請書類の押印不要の判断や提出様式の取扱いなど、申請手続きに関する細部は運用要領に整理されています。
運用要領の主な内容
運用要領には、おおまかに次のような事項が含まれています。
- 受入れ機関に関する実務上の留意点
受入れ体制の整備、基準遵守の考え方、提出書類の確認方法 - 支援計画・支援実施の取扱い
支援計画における支援項目、支援記録・報告の方法 - 届出・報告手続きの取扱い
定期届出、変更届出、報告方法・期限等 - 登録支援機関に関する取扱い
支援業務の委託・監督、契約や委託範囲の留意点
ただし、要領の具体的な内容は、分野(介護・建設・宿泊など)によって異なる分野別運用要領も存在しますので、自社の受入れ分野に対応する最新版を確認する必要があります。
頻繁に改正が行われる点への注意
運用要領は制度運用上の実務整理であるため、社会情勢や制度変更に応じて頻繁に改訂されています。実際に、直近でも複数回の更新や一部改正が行われています。
このため、最新版の運用要領を常に確認する態勢を整えることが重要です。誤って旧版のルールに基づいて対応してしまうと、申請不備や手続き遅延の原因となる可能性があります。
登録支援機関が必ずしも全ての改正をキャッチアップしているとは限らない点
特定技能の実務では、受入れ機関が自ら支援計画や支援業務を行うか、登録支援機関に委託するかを選択します。登録支援機関は専門的な知識を有していますが、必ずしもすべての改正内容を即座に正確に把握しているとは限りません。
特に運用要領の細部改正や分野別要領の更新箇所は、支援機関側でも見落としや解釈の差が生じる可能性があります。受入れ企業は、登録支援機関からの情報提供に依存するだけでなく、自社でも公式情報(出入国在留管理庁の公表ページ等)をチェックし、改正点にどう対応するかを適宜確認することが必要です。
実務上のポイント
最新の運用要領を確認する
申請や支援手続きの前に、必ず出入国在留管理庁の公式サイトに掲載されている最新版の運用要領を確認することが基本です。法令改正や制度改善に伴い、実務ルールが変わっている可能性があります。
支援体制と責任の明確化
受入れ機関が支援業務を登録支援機関に委託する場合でも、最終的な責任は受入れ機関にある点を認識しておく必要があります。運用要領においても、支援計画の内容や支援の履行については受入れ機関が確認する責務を負う旨が整理されています。
定期届出・報告の取扱い
届出・報告のルール(定期届出・変更届出の対象や期限等)は運用要領に示されていますが、改正で変更になる場合があります。最新の取扱いを確認し、届出漏れが生じないようにする体制整備が重要です。
まとめ
「特定技能外国人受入れに関する運用要領」は、制度の実務上の取扱いを整理した重要な指針資料です。法令と同様に確認が必要ですが、法令そのものではないことにも留意する必要があります。申請や支援手続きの際には、最新版の要領の確認、登録支援機関との情報すり合わせ、届出・報告体制の整備が実務上の基本事項です。
なお、運用要領は頻繁に改正されるため、受入れ企業側でも公式情報を継続的にチェックすることが重要です。支援担当者や登録支援機関だけでなく、受入れ企業自身が最新情報を確認する体制づくりが求められます。
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