はじめに
特定技能外国人を受け入れる事業者は、単に雇用するだけでなく、労働条件や生活支援などの待遇全般について法令・制度の要件を満たす必要があります。
以下は、事業者が実務として対応すべき内容を整理したものです。
1.賃金(給料)の設定と支払い
■ 何をすれば良いか
- 給与額を日本人従業員と同等以上に設定する
特定技能制度では、同一労働・同一責任の日本人と比較して、給与が同等以上であるという要件があります。これは実質的に「同一労働同一賃金」の考え方にも通じます。 - 賃金規程を整備し、説明できるように備える
賃金規程(給与決定ルール・評価制度など)を文書化し、特定技能外国人の給与額の決め方を説明できるようにしておくことが望ましいです。 - 最低賃金の遵守
日本国では最低賃金法があり、国籍を問わず最低賃金以上の給与を支払う必要があります。 - 割増賃金(残業・深夜・休日)を正確に支払う
労働基準法に基づく割増賃金の計算・支払いを怠らないようにします(例:残業25%、休日35%など)。 - 給与控除も日本人と同様に適用すること
社会保険料・税金などの控除は、日本人と同じルールで行うことが原則です。
■ 実務チェックポイント
- 日本人従業員の給与水準を把握しているか
- 給与規程が文書化・運用できているか
- 給与支払いが法定どおり実行されているか
2.住環境(住居)に関する支援
■ 何をすれば良いか
- 住居確保のサポートを行う
外国人従業員が日本で生活するにあたり、住居を自力で探すことは困難な場合が多いです。住居の案内・契約支援・仲介手続きの支援を行うことが実務上求められています。 - 借り上げ社宅・寮の提供を検討する
社宅や寮を提供することで、従業員の生活安定を図ることができます。これらの費用負担ルールも明確にしておきましょう。 - 生活環境の情報提供
住居周辺の生活インフラ(病院・役所・銀行など)の案内、公共交通機関の利用法、行政手続きの方法などを案内すると定着率が高まります。
■ 実務チェックポイント
- 住居探しに関する支援体制があるか
- 住居契約の際の支援(翻訳・同行など)を用意しているか
3.福利厚生・職場環境全般
福利厚生は義務ではないものもある一方、従業員の生活・働きやすさに直結する重要な要素です。
■ 何をすれば良いか
- 社会保険・労働保険への加入
対象となる外国人従業員については、法定の社会保険および労働保険に加入します。日本人と同様の加入・手続きを行う必要があります(健康保険・厚生年金・雇用保険など)。 - 労働安全衛生の確保
職場の安全衛生管理を徹底し、必要な教育・安全対策を実施します。外国人でも同じ基準で対応します。 - 相談窓口の整備
日本語が十分でない従業員のために、相談窓口や日本語支援を用意することが望まれます。また、生活・職場に関する相談・苦情受付体制を整備しましょう。 - 教育・研修の実施
職務遂行のために必要な研修、生活習慣や文化の違いに関する教育を行うことを検討します。 - 任意の福利厚生
給食補助、スポーツ施設利用、イベント参加など、従業員の満足度向上につながる福利厚生制度を導入することも定着支援に役立ちます。
■ 実務チェックポイント
- 社会保険・労働保険に確実に加入しているか
- 労働安全衛生関連の教育と環境整備は適切か
- 相談窓口や支援体制が実際に機能しているか
4.契約書・文書の整備と運用
■ 何をすれば良いか
- 雇用契約書を明確に作成する
雇用契約書には、給与・労働時間・休暇・福利厚生・住居支援内容などを明記します。雇用契約書は従業員が理解できる言語で提示します。 - 特定技能外国人の報酬に関する説明書を準備する
出入国在留管理庁の「報酬に関する説明書(参考様式)」を作成し、同等報酬の根拠や算定方法を記載します。 - 就業規則への反映
就業規則・賃金規程に特定技能従業員も含めた待遇を明文化します。変更がある場合は労働基準監督署へ届出を行う必要があります。
■ 実務チェックポイント
- 文書類は最新かつ法令・制度に整合しているか
- 日本語だけでなく従業員が理解可能な言語での説明ができているか
5.待遇改善のための運用体制づくり
待遇改善は単発的な対応ではなく、継続的な環境整備と評価・改善が重要です。
■ 何をすれば良いか
- 定期的な待遇評価・改善会議の実施
給与水準の見直し、福利厚生の充実案検討などを定期的に実施します。 - 外国人従業員の意見・ニーズを把握する
アンケートや面談を通じて、現場での課題やニーズを把握し、改善策を講じます。 - 地域・業界の実務情報を参照する
同業他社の事例や相場情報を把握し、自社の待遇と比較検討を行うことが有効です。
まとめ
特定技能外国人の待遇改善にあたっては、単に給与や住環境を整えるだけでなく、法令要件に基づく待遇の整備・文書化・継続的な運用体制の構築が重要です。
事業者は以下を実行するように努めましょう:
- 日本人従業員と同等以上の待遇を給与・労働条件で確保する
- 住居支援(契約支援・案内)を組織的に実施する
- 社会保険・労働保険・安全衛生・相談体制を整備する
- 文書類を適切に整備し、運用できる仕組みをつくる
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