はじめに
日本、とりわけ北海道では農業・酪農業・水産業などの第一次産業における人手不足が深刻です。
高齢化・人口減少が進む地域では、地域の産業を支える労働力として外国人材の活用が進められています。その一方で、制度理解や受入れ環境整備において、実務上つまづきやすい点が少なくありません。本稿では、特に北海道の地域特性(広大な地域・公共交通網の限界と自動車必須の生活実態など)を踏まえ、つまづきやすいポイントと注意点を整理します。
1.受入れ制度の基本概要
農業・酪農・水産業で外国人材を受け入れる際には、在留資格ごとに働ける範囲や条件が異なることを理解しておく必要があります。
例えば、農業・漁業分野では「特定技能」在留資格を活用するケースが増えていますが、それぞれ職種・業務範囲が法令で定められています。適用できない業務や行為は在留資格違反となる可能性があります。
在留資格による活動可能範囲は制度ごとに決められており、具体的な業務内容・現場作業との不一致がないか事前確認が必要です。
2.つまづきやすいポイント① 在留資格と業務内容の不一致
受入れ現場で想定している業務内容が、当該外国人の在留資格で認められている活動内容と一致しないケースがあります。
たとえば、農作業全般・機械作業・収穫や搬送だけでなく、事務・販売・契約交渉といった業務を期待した場合、在留資格の範囲外となる可能性があります。
在留資格によって認められる活動内容が異なるため、現場作業とのミスマッチがないか確認が重要です。
3.つまづきやすいポイント② 受入れ側の要件未確認
受入れ側で理解不足が生じやすいのが、受入れ事業者・受け入れ機関に関する要件です。
たとえば、雇用契約に際して労働条件通知や労働基準法に基づく管理・届出、健康保険・年金適用など、一般の労働者と同じく法令に基づく要件を満たす必要があります。
また、季節変動のある業務であっても、法令上の雇用管理が適切に行われているかどうかを確認しなければなりません。
4.つまづきやすいポイント③ 生活支援・就労環境の配慮
北海道は面積が広く、都市部を除くと公共交通機関が限られるため、生活や通勤に自動車が必須となる地域が多いという特性があります。
地方では、通勤や生活のための移動手段の確保が重要であり、就労先から住居・生活圏までのアクセスや生活支援制度、学校や病院などのインフラ整備も含めた検討が必要です。公共交通が不十分な地域では、生活面の配慮が不十分だと定着・継続就労に支障が出ることがあります。
こうした移動環境・生活インフラ整備の観点は、北海道など広域地方では特有の重要なポイントです。
5.つまづきやすいポイント④ 地域コミュニティとの関係
北海道では地域によっては外国人比率が上昇している地域もあり、地域社会との共生の視点が重要になっています。地方自治体の地域戦略でも、日本語教育や生活情報の提供など、受入れ環境整備が課題として挙げられています。
言語・文化の違いに配慮した支援や地域住民との関係づくりが実務上必要となります。
6.つまづきやすいポイント⑤ 制度改正・最新情報の見落とし
特定技能制度や関連制度は、改正や運用変更が進行しており、最新の公式情報を確認しないと、旧制度の情報を基にした手続きが不適切になる可能性があります。
制度変更や要件の変更は公式な根拠に基づいて最新情報を確認することが求められます。
実務上の注意点
- 制度理解と現場業務の整合性を事前に検討すること
- 労働条件・雇用管理が法令に適合していることを確認すること
- 生活支援や移動手段・住居など生活環境の整備が計画されていること
- 地域社会との関係づくり、共生支援の視点を持つこと
- 制度改正や運用変化を最新の公式情報で逐次確認すること
まとめ
農業・酪農業・水産業分野で外国人材を受け入れる際には、制度理解・雇用管理・生活環境の配慮など、複数の留意点があります。とりわけ北海道のように広域・交通事情・生活インフラが独特な地域では、生活動線や生活支援の計画も重要です。これらの点を整理し、慎重に対応することが求められます。
現場と関連制度とのミスマッチを避け、公式情報に基づく最新の確認を行いつつ、地域特性を踏まえた対応を進めることが重要です。
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