「オンライン申請だから簡単」と考える前に―企業が見落としがちな手続き上の注意点

1.オンライン申請制度の概要

在留申請オンラインシステムとは、法務省・出入国在留管理庁が提供する公式のインターネット申請システムで、企業も利用できる在留資格申請をインターネット経由で行える仕組みです。在留資格認定証明書交付・変更・更新・取得などの手続きが対象になっています。

オンライン申請は、24時間どこからでも申請でき、窓口に出向く必要がないことから利便性が高いとされています。システム利用料は無料であり、申請後の審査状況の確認や結果通知もオンライン・メールで受け取れる仕組みです。

ただし、オンライン申請であっても審査基準・必要資料は基本的に従来の窓口申請と同じであり、形式的に入力すれば許可されるものではありません。オンライン申請は「手段」であり、実質的な審査はこれまで通り行われます。


2.オンライン申請制度の公式根拠

オンライン申請制度については、出入国在留管理庁の公式ページで対象となる申請手続きや利用方法が案内されています。具体的な対応手続きとして、在留資格認定証明書交付申請・在留期間更新許可申請・在留資格変更許可申請・在留資格取得許可申請などが挙げられています。

また、オンライン申請のQ&Aでは、利用できる者の区分(外国人本人・親族・弁護士・行政書士・所属機関の職員など)が明示されています。オンライン申請を行うためには事前に利用者登録が必要であることも記載されています。

公式情報は必ず参照してください(制度内容や対象範囲は変更される可能性があります)。


3.企業がオンライン申請を自己対応する際の主な注意点

3-1.入力ミス・記載内容の責任は申請者にある

オンライン申請は入力フォームや添付ファイルで提出する形式に変わりましたが、記載内容の正確性や必要書類の適否について自動的にチェックされるものではありません。記載漏れや添付不足があると不許可や追加提出要求の対象になりえます。

不許可理由や追加資料通知は、一般的に入管局側が詳細な解説をしない場合もあり、対応には一定の専門知識が求められます

3-2.申請書類の選定と審査基準の理解が必要

オンライン申請でも、在留資格ごとに要求される立証資料・添付書類は変わりません。例えば「就労系資格」「技術・人文知識・国際業務」など、それぞれの資格で求められる資料内容や立証の仕方が異なります。形式的に提出しても審査段階で不十分と判断されると不許可のリスクがあります。

また、外国人本人がオンライン申請する場合でも、企業側が証明する部分(雇用契約内容・業務内容の説明など)は企業が責任を持って用意する必要があります。これはオンライン・対面を問わず共通する留意点です。

3-3.追加資料・補正対応の負担

申請後に入管局から追加資料提出や記載訂正の要請が来る場合があります。要請期限が設けられていることがあり、対応の遅れは不利益につながる可能性があります。企業内で申請者(外国人本人)との連携や期日管理の体制が整っていないと、結果的に負担が大きくなるケースもあります。


4.オンライン申請でも行政書士等の専門家関与のメリット

オンライン申請自体は企業でも可能ですが、以下の点で専門家の関与が有用となるケースがあります

  • 審査基準・立証方法の解釈が必要な複雑なケース
  • 過去に不許可歴がある申請
  • 大量・継続的な外国人在留手続きの管理

行政書士や弁護士は、申請書類の整合性をチェックし、立証資料の補強や不許可回避策についてアドバイスできる場合があります。ただし、専門家に依頼するかどうかは企業の判断であり、一律に必要とされるわけではありません。


5.企業としての判断軸と注意点

企業がオンライン申請を自己対応するかどうか判断する際は、以下の点を検討してください。

  • 社内で在留資格制度の実務知識や立証資料の整理ノウハウがあるか
  • 申請ミス・不許可時のリスクを社内でカバーできる体制があるか
  • 複数の在留資格申請を一括管理できる体制があるか

オンライン申請制度は利便性を提供する一方で、制度の趣旨や審査基準の理解が伴わなければ、結果的に手戻りや不許可といったリスクを招く可能性があります。


まとめ

オンライン申請は企業にとって利便性の高い制度ですが、「オンラインで申請すれば簡単に許可される」わけではありません。 審査基準の理解・添付書類の選定・不許可時の対応など、制度の本質的な要件を満たすことが不可欠です。

企業が自己対応する場合でも、制度の公式情報や審査基準を正確に把握し、必要に応じて専門家へ相談する体制を整えることが重要です。公式情報は出入国在留管理庁のオンライン申請ページをご覧ください。


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