特定技能外国人の受入れ準備で意外と見落とされやすいのが、分野ごとに設けられた「協議会」への加入です。2024年6月からは「受入れ前」の加入が必要となり、加入手続きの遅れが在留資格申請のスケジュール全体を後ろ倒しにするケースもあります。本記事では、協議会の位置づけ・ルール変更の内容・手続きの流れを整理します。
協議会とは:分野ごとに設けられた組織への加入義務
特定技能制度では、対象となる特定産業分野ごとに、分野を所管する省庁が協議会を設置しています(例:介護分野は厚生労働大臣が設置する「介護分野における特定技能外国人の受入れに関する協議会」)。制度の趣旨の周知や情報共有、地域ごとの人手不足の状況把握などを目的とする組織です。
特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、この協議会の構成員になることが受入れの基準とされています。加入後も、協議会に対して必要な協力を行うことが求められ、協力を行わない場合や退会した場合は基準を満たさなくなり、特定技能外国人を受け入れることができなくなります(特定技能運用要領)。「一度入れば終わり」ではない点も押さえておきたいところです。
2024年6月15日からのルール変更:「受入れ後」から「受入れ前」へ
以前は、初めて特定技能外国人を受け入れる場合、「受入れ(入国)後4か月以内に協議会の構成員になる」ことを誓約する運用でした。
これが変更され、2024年(令和6年)6月15日以降の在留諸申請では、申請の前に協議会に加入し、構成員であることを証明する書類を申請時に提出する必要があります(出入国在留管理庁公表の分野別運用要領改正資料)。
つまり順序が逆になりました。「先に外国人を受け入れて、後から協議会に入る」ことはできず、「先に協議会に入ってから、在留資格を申請する」のが現在のルールです。
加入手続きの基本的な流れ
- 自社の分野の協議会を確認する:分野ごとに所管省庁・協議会・申請窓口が異なります(介護は厚生労働省、外食業・農業は農林水産省など)
- 所管省庁のオンラインシステム等で加入申請を行う:多くの分野でオンライン申請が導入されています
- 加入証明(構成員であることの証明書等)を取得する
- 在留資格の申請時に証明書類を提出する
分野によって手続き・所要期間が異なる
注意したいのは、加入手続きの方法・審査に要する期間・必要書類が分野ごとに異なることです。申請してすぐに加入が完了するとは限らず、書類の不備等があればさらに時間がかかります。具体的な手続きは、各分野の所管省庁のウェブサイトでの確認が必要です。
採用スケジュールへの影響と実務上の注意
受入れ前加入への変更で、実務上は次の影響が生じています。
- 在留資格申請の前提条件が1つ増えた:協議会加入が完了しないと申請に進めないため、加入手続きの遅れがそのまま入社時期の遅れにつながります
- 初めての受入れ企業ほど要注意:既に構成員である企業は影響が小さい一方、初めて受け入れる企業は「加入手続きの時間」を採用計画に織り込む必要があります
- 登録支援機関に支援を委託しても、加入義務は受入れ企業側:協議会の構成員となるのは特定技能所属機関(受入れ企業)自身です
特定技能人材の採用が決まったら、雇用契約・支援計画の準備と並行して、協議会加入の手続きに着手することをおすすめします。
まとめ
特定技能の協議会加入は、受入れの基準そのものであり、2024年6月15日以降は在留資格申請の前に加入を済ませ、証明書類を提出する必要があります。分野によって手続きや所要期間が異なるため、初めて受け入れる企業は早めの着手が肝心です。加入後も協議会への協力が継続的に求められる点を含め、自社の分野のルールを所管省庁の公式情報で確認し、不明点は専門家にご相談ください。
