特定技能の定期届出はどう変わったのか|四半期ごとから年1回へ

特定技能所属機関(受入企業)に義務づけられている「定期届出」のルールが、令和8年4月1日から大きく変わりました。これまで四半期に1度だった提出頻度が年1回に統一されています。出入国在留管理庁の公式情報に基づき、変更内容と実務上の注意点を整理します。

1. 特定技能の定期届出とは何か

特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、出入国在留管理庁への各種届出義務を負っています。届出には、雇用契約の変更や受入れ困難など、事由が生じた都度提出する「随時届出」と、一定期間の受入れ・活動・支援の状況をまとめて定期的に提出する「定期届出」の2種類があります。

定期届出は、特定技能所属機関自身が届出者となりますが、1号特定技能外国人への支援の全部を登録支援機関に委託している場合は、その登録支援機関による支援実施状況もあわせて取りまとめて提出する必要があります。

2. これまでの届出頻度(四半期ごと)とその実務負担

出入国在留管理庁の公表情報によれば、従来の定期届出は四半期ごと(年4回)の提出でした。2025年4月15日までに提出するものが、四半期ごとの定期届出としては最後となり、以後は年1回の提出に切り替わることが、2025年4月16日付で公式にアナウンスされていました。

四半期ごとの提出は、受入企業・登録支援機関にとって年4回の書類作成・提出作業が発生する負担の大きい仕組みでした。

3. 今回の変更内容:年1回への統一

出入国在留管理庁は、令和8年(2026年)4月1日から定期届出のルールを大幅に変更したことを公式サイトのトピックスで案内しています。変更後の枠組みは次のとおりです。

  • 対象期間:4月1日から翌年3月31日まで(1年間)
  • 提出期間:翌年5月31日まで(5月31日が土日祝日の場合は翌開庁日)

この枠組みに沿うと、新ルール移行後の最初の定期届出は、対象期間が令和7年(2025年)4月1日から令和8年(2026年)3月31日まで、提出期限が令和8年(2026年)5月31日までとなります。四半期ごとの提出が2025年4月15日提出分で終了した後、次の提出機会がこの年1回の届出になるという整理です。

4. 届出の対象となる主な記載事項

出入国在留管理庁の公式情報によれば、定期届出で提出が必要な主な書類は次の2つです。

  1. 「特定技能外国人の受入れ・活動・支援実施状況」(参考様式第3-6号(別紙1))
  2. 「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書(署名欄)」(参考様式第3-6号(別紙2))

なお、オンラインによる定期届出以外の方法で、かつ特定技能所属機関が1つの登録支援機関のみに支援の全部を委託している場合は、上記2の提出は不要とされています。書類の具体的な作成方法は、出入国在留管理庁が公表する「定期届出作成要領」で確認できます。

5. 経過措置・初回提出のタイミング

制度切替えの経過措置として、2025年4月15日までの提出をもって四半期ごとの定期届出は終了し、それ以降は年1回の枠組みに一本化されています。受入企業・登録支援機関は、直近でいつ・どの期間分を届け出たかを社内で確認し、次回提出(対象期間の末日である3月31日から翌5月31日までの提出期限)を見落とさないよう管理する必要があります。

6. オンライン届出システムとの関係

出入国在留管理庁は2021年4月1日から、特定技能制度における全ての届出を対象とした「出入国在留管理庁電子届出システム」の利用を開始しています。年1回化にあわせて、2026年4月28日には特定技能所属機関向けに、オンラインで定期届出を行う方法を解説した動画(「定期届出の概要」「利用者登録・利用申出の解説」「定期届出の入力方法の解説」)が公開されました。オンライン提出であれば、登録支援機関の届出書(別紙2の署名欄)も含めて一括で手続きできる点で、書面提出より手間が少なくなる場合があります。

また、2026年5月8日には「定期届出でよくある誤り集」、同年5月20日には届出に関するQ&Aや添付書類の提出方法についてのお知らせが、それぞれ公式に公開されています。年1回化により1回あたりの提出内容・添付書類が増える分、こうした公式の参考資料を確認しながら準備を進めることが重要です。

7. 届出を怠った場合のリスク

出入国在留管理庁は、定期届出に関して次の点を明確に注意喚起しています。

  • 特定技能所属機関からの届出が適正に履行されていない場合、特定技能外国人を受け入れることができなくなります。
  • 特定技能所属機関から登録支援機関による支援状況が提出されない場合、登録支援機関の登録が取り消されることがあります。

年1回化によって提出の頻度自体は減りますが、1回の届出漏れが与える影響(次の受入れができなくなる、登録支援機関の登録取消しにつながり得る)はむしろ大きくなったとも言えます。

8. 受入企業・登録支援機関が今から準備しておきたいこと

年1回の提出に統一されたことで、日々の記録を四半期ごとに整理する習慣が薄れやすくなる懸念があります。受入企業・登録支援機関としては、対象期間(4月1日〜翌年3月31日)を通じて必要な情報(受入れ状況、活動状況、支援の実施状況等)を継続的に記録・保存しておき、翌5月31日の提出期限にまとめて対応できる体制を整えておくことが重要です。特に登録支援機関に支援を委託している場合は、委託先との情報共有のタイミングも含めて、社内フローを事前に見直しておくとよいでしょう。

まとめ

特定技能の定期届出は、令和8年4月1日から四半期ごと(年4回)の提出から年1回の提出に変更されました。対象期間は4月1日から翌年3月31日、提出期限は翌年5月31日までです。制度移行の経過措置として、四半期ごとの届出は2025年4月15日提出分で終了しています。届出の不履行は受入れの継続や登録支援機関の登録に直接影響するため、年1回になったからこそ、日頃からの記録管理が一層重要になります。詳細な提出書類・作成方法は、出入国在留管理庁の公式ページで随時更新される最新情報を確認する必要があります。