日本国内でも外国人従業員を雇用する企業が増えています。その際、言語・文化だけでなく、宗教的背景の違いが職場で影響する場面もあります。制度・法令上の基本的な考え方や、実務上どのような配慮が求められるかを整理します。
外国人従業員の「宗教・文化の違い」とは
宗教に起因する違いの例
宗教によっては、礼拝の時間や食事制限、特定の服装・身だしなみのルールがある場合があります。たとえば、ある宗教では日中に定期的な礼拝があり、特定の食品を避けるといった慣習が見られます。こうした宗教上の習慣やルールを理解することが職場での円滑なコミュニケーションにつながります。
文化的背景による違い
宗教以外にも、祝日・行事の過ごし方、時間感覚、意思表示の方法といった文化的背景の違いがあります。こうした違いは業務遂行や職場コミュニケーションに影響することがあるため、一般的な文化差として認識することが大切です。
企業対応に関する法令上の基本的な考え方
労働関係法令との関係
外国人従業員であっても、日本国内で就労する以上、労働基準法等の労働関係法令が適用されます。また、労働基準法第3条では「国籍」「信条」「社会的身分」を理由とする賃金・労働時間その他の労働条件についての差別的取扱いは禁止されています。これは、宗教的信条を理由とする不利益取扱いにも関係します。
差別的取扱いを避ける必要性
宗教や信条を理由として採用・解雇・労働条件に差別的な扱いをすることは認められていません。信条に基づく不利益な扱いがあってはならないとされています。
実務上配慮が求められる主な場面
採用時・雇用契約時
採用活動や雇用契約の際には、応募者・従業員の宗教的背景を不必要に取り上げることは避けるべきです。また、宗教や文化的背景を理由に採否判断を行うことは差別的取扱いに該当する可能性があります。ここでの「宗教・信条」等は、労働法上の差別禁止規定の対象となります。
就業中の配慮
従業員が宗教的慣習として守っている礼拝時間や宗教的な食事制限のような事情については、可能な範囲で配慮を検討することが望ましいとされています。たとえば、ルールの枠内で休憩時間の調整や礼拝可能なスペースの確保といった配慮です。
企業が注意すべきポイント
法令上の義務と実務上の配慮
法令上は、差別的な取扱いをしてはならないという禁止規定が明示されていますが、宗教的・文化的配慮内容については「義務的な対応」として法律本文に明記されているものではありません。ただし、配慮によって職場の多様性・相互理解を促進し、労使関係の良好化に寄与することが期待されます。
個別事情・現場判断の重要性
宗教・文化的配慮の内容は一律の対応ではなく、従業員個々の事情や職種・職場環境に応じて検討する必要があります。実務上は、当該従業員と企業の双方で十分なコミュニケーションを図ることが重要です。
まとめ
外国人従業員の宗教・文化的背景への対応は、法令上の差別禁止規定に留意しつつ、職場環境の整備や個別の事情に応じた配慮が重要です。制度上の義務と実務上の配慮区別を理解し、従業員との十分なコミュニケーションを図ることが円滑な雇用関係構築に寄与します。
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