特定技能1号外国人の支援は、登録支援機関に委託することができます。しかし「委託したから安心」というわけではありません。出入国在留管理庁の公式情報に基づき、登録支援機関と受入企業(特定技能所属機関)のそれぞれの役割・責任を整理します。
1. 登録支援機関とは何か
出入国在留管理庁の公式情報によれば、1号特定技能外国人を受け入れる受入れ機関(特定技能所属機関)は、当該外国人が「特定技能1号」の活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための支援に関する計画(1号特定技能外国人支援計画)を作成し、この計画に基づいて支援を行わなければなりません。
この支援業務は、受入れ機関が自ら行うほか、登録支援機関に委託して実施することもできます。登録支援機関になるためには、受入れ機関と業務委託のための契約を結び、出入国在留管理庁長官の登録を受ける必要があります。2026年8月時点で、全国に1万件を超える登録支援機関が登録されています。
2. 1号特定技能外国人支援計画に基づく「義務的支援10項目」
支援計画には、次の10項目(義務的支援10項目)が主な記載事項として定められています。
- 事前ガイダンス(雇用契約締結後、在留諸申請前の労働条件・活動内容等の説明)
- 出入国する際の送迎
- 住居確保・生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続等への同行
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(受入れ側都合による雇用契約解除の場合)
- 定期的な面談(3か月に1回以上)・行政機関への通報
これらの支援を、受入企業が自社で行うか、登録支援機関に委託するかを選択できる仕組みです。
3. 委託できるのは「支援の実施」
出入国在留管理庁の公式情報には、次のように明記されています。
登録支援機関に支援計画の全部の実施を委託した場合は、受入れ機関が満たすべき支援体制の基準を満たしたものとみなされます。
つまり、支援計画の全部を委託すれば、受入企業自身が「支援体制の基準」を満たしているとみなされます。これは、支援業務という実務の実施を登録支援機関に委ねることができるという意味です。一方で、登録支援機関は、委託を受けた支援業務の実施をさらに他に再委託することはできません。
4. 受入企業に最終的に残る義務・責任
支援の実施を委託しても、受入企業(特定技能所属機関)自身に残る義務・責任があります。
届出義務は受入企業が負う
出入国在留管理庁の公式情報によれば、特定技能所属機関による随時届出は「特定技能所属機関(受入れ企業又は個人事業主の方)が届け出る必要があります」とされており、外国人への支援実施のために登録支援機関と委託契約を締結していても、登録支援機関が届出を行うことはできません。定期届出についても、届出者は特定技能所属機関であり、登録支援機関に支援の全部を委託している場合は、その支援実施状況もあわせて受入企業側が取りまとめて提出する必要があります。
特定技能所属機関としての基準は受入企業自身が満たす必要がある
特定技能運用要領では、特定技能雇用契約の相手方(受入企業)の基準として、労働・社会保険・租税関係法令の遵守、欠格事由に該当しないこと等が定められています。これらは受入企業自身が満たすべき基準であり、支援業務を登録支援機関に委託したからといって、受入企業がこれらの基準を満たす義務を免れるわけではありません。
5. 委託契約における受入企業のチェックポイント
登録支援機関に委託する場合、受入企業としては次の点を確認しておくことが重要です。
- 登録支援機関が出入国在留管理庁の登録支援機関登録簿に正しく登録されているか
- 委託契約の内容(委託する支援の範囲、費用等)が明確になっているか
- 登録支援機関から定期的な支援実施状況の報告を受けられる体制になっているか
- 届出義務は受入企業自身が履行する必要があることを認識し、登録支援機関からの情報提供のタイミングを事前に確認しているか
6. 登録支援機関側の義務と、受入企業への影響
登録支援機関には、出入国在留管理庁の公式情報によれば、「外国人への支援を適切に実施すること」「出入国在留管理庁への各種届出を行うこと」という義務が課されています。また、登録支援機関になるための基準として、法令等を遵守し欠格事由に該当しないこと、支援計画の全部を実施できる体制を有することが求められています。
登録支援機関が不適切な支援を行った場合や、登録取消し等の事態が生じた場合、委託していた受入企業の支援体制にも直接影響が及びます。委託先の状況を「任せきり」にせず、定期的に確認することが望ましいといえます。
まとめ
登録支援機関への委託は、1号特定技能外国人支援計画に基づく支援の実施を委ねる仕組みであり、支援体制の基準を満たしたものとみなされる効果があります。しかし、届出義務や特定技能所属機関としての各種基準の遵守は、委託の有無にかかわらず受入企業自身に残ります。「委託したから安心」ではなく、委託後も受入企業として何を自ら行う必要があるかを正確に理解しておくことが重要です。
